日本三景の一つ「天橋立」(京都府宮津市)で26日、古名松「船越の松」の伐採作業が始まった。樹齢は推定650年で、幹の空洞化による倒木の恐れがあるためだ。
管理する府によると、天橋立には、名前が伝わる古名松が3本現存し、船越の松は、そのうちの1本。高さ約20メートル、幹回り約4・15メートルの黒松という。
2005年にワイヤを張って補強した後、鋼の支柱を設置するなど倒木対策をとってきた。だが、昨年7月、樹木医の診断で幹の根元の空洞化が著しいことがわかり、府は昨年12月に伐採を決めた。
伐採作業は26日午前10時から2台のクレーンを使ってスタート。約45分間で全ての枝を切った後、幹の部分を分割して伐採した。作業は27日にもある。この松の2世松を10年ほど前から育てており、今後、移植する予定という。
伐採の知らせを聞き、現地を訪れた天橋立エコツーリズムガイドの会の土屋勝さん(83)によると、「船越の松」の名のいわれには、この辺りで、天橋立の砂州で区切られた内海(阿蘇海)から外海(宮津湾)へ陸上を通して舟を渡したとの言い伝えがあるという。
土屋さんは「ガイドポイントの一つでした。天寿を全うしたのでしょうが、寂しくなります」と話した。