保護された時のオジロワシ=提供:猛禽類医学研究所

 翼を骨折し、北海道千歳市で保護された国の天然記念物オジロワシが、過去に散弾10発を受けていたことが分かった。個体を保護した環境省の北海道地方環境事務所が12日、発表した。

 事務所によると、オジロワシは今月2日、千歳市の工場敷地内で見つかった。骨折で飛べなくなり、衰弱した状態だったという。通報を受けた市職員に保護され、環境省釧路湿原野生生物保護センターへ運ばれた。

 希少種を治療する猛禽(もうきん)類医学研究所の獣医師が診たところ、傷の状態から骨折は10~14日ほど前だったと推測される。自動車や電線に衝突するなど何らかの事故によるものとみている。

 一方、被弾の傷は癒えていることから、今回の事故よりかなり前に撃たれたもののようだ。X線撮影で見つかり、首の部分から左足にかけて被弾していた。

 体の中心部に多いため、流れ弾ではなく、比較的近い距離の正面から狙われた可能性がある。弾の大きさや形状から、カモ猟などに使われる散弾とみられる。

 鳥獣保護管理法などに違反する疑いがあるため、環境省は千歳署に報告。道などを通じて猟友会に注意喚起した。事務所の武田忠義専門官は「オジロワシなどの猛禽類は狩猟対象のカモやキジよりも大きく、判別がつくはずだ」と指摘する。

 過去の例をみても、撃った時期や場所を特定するのは難しい。

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