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無安打無得点試合を達成した天理の橋本桜佑
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 (10日、春季近畿地区高校野球大会奈良県予選決勝 天理1―0奈良大付)

 天理の2年生左腕、橋本桜佑(おうすけ)が奈良大付を相手に、春の奈良県予選では24年ぶり6人目となるノーヒットノーラン(無安打無得点試合)を達成した。

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 横手投げで打者の内外へ丁寧にボールを投げ分け、チェンジアップを効果的に駆使して凡打の山を築いた。二、七、九回に四死球や失策で走者を出したが、遊撃手・赤埴(あかはに)幸輝(3年)の好守もあって安打は許さず、104球を投げ抜いた。

 達成まであと1死。1点リードの九回2死で、橋本の腕は震えていた。「すごく緊張してしまって、いっぱいいっぱいだった」。死球と四球で勝ち越しの走者を出した。

 内野陣が集まり、次々に声をかけられた。次の4番打者を追い込んだところで、赤埴が駆け寄り「気持ちで負けたらあかん」。

 これで「最後、思い切って腕が振れた」と橋本。

 高めの真っすぐで空振り三振を奪うと、天を仰ぎながらガッツポーズした。これが高校での初完投。「や、やっと終わった……みたいな感じでした」。表彰式後の取材でやっと表情を緩めた。

 3月の選抜大会は背番号19でベンチ入りしたが、出番はなかった。

 「ここで投げられる投手にならなあかんと悔しかった」

 藤原忠理監督にすすめられ、4月に上手投げから横手投げに変えたばかり。全体練習後は寮のパソコンでプロ選手の動画を見て、室内練習場に向かった。就寝時間までのシャドーピッチングで、フォームを体に染み込ませた。

 今大会、チームは選抜大会1回戦で先発した下坊大陸(りく)(3年)を除く7投手を起用し、全5試合で無失点だった。準決勝までの3試合で救援した橋本が先発起用に応え、藤原監督は「今後に向けてすごく手応えのある試合だった」。

 奈良1位で24日に開幕する近畿大会に挑む。橋本は「(今日は)たまたまです。ショートイニングをしっかり投げるのが僕の役目」。そう言って、再び表情を引き締めた。

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