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山梨学院―天理 四回表山梨学院2死二、三塁、逆転の左中間適時二塁打を打たれた下坊=上田博志撮影
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 (20日、第97回選抜高校野球大会1回戦 山梨学院5―1天理)

 天理(奈良)の下坊大陸投手(3年)がマウンドから眺めた甲子園は、練習の時とは全く異なる雰囲気だった。スタンドには人、人、人。打者がいつもよりずっと遠く感じた。

 それでも、初球は142キロの直球が外角に決まり、自己最速を更新した。緊張をほぐすために初球を全力で投げることは、石井翔太捕手(3年)と約束していた。

 一回表2死二塁の場面では、相手の4番を3球三振に仕留め、二回表2死一、二塁でも、9球粘った相手を最後は直球で見逃し三振に切って取った。三回表は三者凡退で抑え、立ち上がりは上々だった。

 しかしその裏、事態は急変した。1点を先取したものの、石井捕手が死球を受けて負傷。豊田竜都捕手(3年)と交代した。任せっきりだった配球を自分でも組み立てることになった。

 「動揺した」。気持ちを整理できないまま、四回表に2点適時二塁打を浴び逆転を許す。「エースとして豊田を支えるべきだった」と悔やんだ。

 4点リードされた九回裏。2死満塁で打順が回ってきた。後ろにつなぐことだけを考えて打席に入ったが、右飛に倒れて試合が終了した。

 「これで終わるわけにはいかない。夏の甲子園がまだ残っている。どれだけ技量を上げられるかだけを考えたい」。悔しさを胸に刻んだ。

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