天皇、皇后両陛下と長女愛子さまが12日午前、羽田発の特別機で長崎訪問に出発した。戦後80年の戦没者慰霊と記憶継承の旅の締めくくりで、午後に被爆者らと懇談する。長崎県訪問は、両陛下は即位後初、愛子さまは初めて。
ご一家は長崎市の平和公園で爆心地を示す石碑に花を供え、その後、長崎原爆資料館で被爆者らと懇談する。13日には恵の丘長崎原爆ホームで入所者と懇談する。これら慰霊の日程には愛子さまも同行する。
ノーベル平和賞の日本被団協の被爆者と対面
被爆者らとの懇談で、ご一家は2024年にノーベル平和賞を受賞した日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)代表委員の田中重光さん(84)と対面する。戦後80年の被爆地訪問は6月の広島に続くものだが、平和賞受賞後、ご一家が被団協関係者と対面するのは今回が初めてとなる。
天皇陛下は、被団協が受賞した翌年2月の誕生日会見で「長年にわたって活動を続けてこられた方々のご苦労に思いを致しつつ、平和な世界を築くために、お互いの理解に努め、協力していくことの大切さを改めて感じております」と述べた。
「原爆の影響が今も残っていることを伝えたい」
田中さんは、ノーベル平和賞受賞後、長崎県外や海外から招かれ、被爆体験などを話す機会が増えているといい、「被爆者の声を伝えていかなければと、きついけど無理してでも行っている。(平和の)種をまいて回っている」と話す。
ご一家との懇談について田中さんは「原爆の影響が今も残っていることを伝えたい。核兵器は絶対なくさんばいかん、と言いたいです」と取材に語った。
両陛下は13日夕に同県佐世保市に移動し、14日に国民文化祭と全国障害者芸術・文化祭の開会式に出席する。愛子さまは13日夜に帰京予定。