皇居内にある宮内庁庁舎=2019年、東京都千代田区、朝日新聞社ヘリから

 宮内庁は1日、天皇ご一家の側近部局である同庁侍従職の職員が、ご一家の日常の費用などに充てる「内廷費」から計360万円を窃取したとして同日付で懲戒免職とし、発表した。同庁によると内廷費が窃盗被害にあったのは初めて。

 同庁によると、窃取した職員は20代で、侍従職の係員級。2023年11月~25年3月、皇居内にある施設での宿直勤務中に内廷費計360万円を窃取したという。同庁の聞きとりに対し、「お金に困っていたから」と話しているという。同庁は4月28日付でこの職員を皇宮警察本部に告発した。

 侍従職の職員は、天皇ご一家の住まいである「御所」と、宮内庁庁舎の双方で宿直勤務に当たっているが、同庁は職員が窃盗を行った場所を明らかにしていない。

 内廷費とは、天皇、皇后両陛下と愛子さま、上皇ご夫妻の日常の費用などに充てられ、年間3億2400万円が支出されている。同庁は今回、内廷費を管理していた侍従職の40代の課長補佐級職員についても、「帳簿と残高の照合をせず、適切な管理を怠った」などとして減給処分とした。

 宮内庁の西村泰彦長官は「今回の事案については全体の奉仕者である国家公務員として、また、皇室のご活動をお支えする宮内庁職員としてあるまじき行為であり、誠に遺憾であります。また、天皇皇后両陛下おはじめ、皇室のみなさま方に対して大変申し訳なくおもっております。綱紀の厳正な保持を徹底し、再発防止に取り組んで参ります」とのコメントを発表した。

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