【動画】英国への公式訪問を前に、天皇陛下が記者会見=宮内庁提供
天皇陛下は19日、英国公式訪問を前に皇居・宮殿で記者会見し、「訪問を通じて我が国と英国との間に培われてきた交流の歴史に思いをはせたい」などと語った。
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即位後、両陛下が国際親善のため外国を公式に訪問するのは昨年6月のインドネシアに続き2度目。訪英は2022年9月に故エリザベス女王の国葬に参列して以来となる。今月22日に出発し、29日に帰国する予定。
天皇陛下は先の大戦で日英も戦火を交えた歴史を「誠に残念なこと」とし、「過去の歴史に対する理解を深め、平和を愛する心を育んでいくことが大切ではないか」と、昨年の記者会見でも述べた考えを改めて強調した。上皇ご夫妻の平和を大切に思う気持ちを「しっかりと受け継いで参りたい」とし、現在、英国との間で緊密な協力関係が構築された陰には、「戦争の傷を癒やすために両国の人々が地道に積み重ねた努力があったことを忘れることはできません」と語った。
両陛下ともに、英・オックスフォード大への留学経験があり、今回再訪する予定だ。1983~85年に留学した天皇陛下は、今でも、留学後にまとめた研究論文を読み直すと、当時の記憶が「ありありとよみがえってきます」といい、「史料集めに奔走したこと」「研究で疲れた私を癒やしてくれた緩やかな流れと周囲の美しい景観」「川沿いをジョギングしたこと」など、次々と思い出に言及した。英王室の方々からは、故エリザベス女王からスコットランドのバルモラル城に招かれ、当時皇太子だったチャールズ国王からフライフィッシングを教わるなど「家族の一員であるかのような心温まるおもてなしをいただいた」と感謝した。
一つの国に一定期間滞在することは、日本を見つめ直すまたとない機会になるとして、「今後とも、我が国の若い世代の人々が外国への関心を持ち続け、留学などを通して、世界中の国や人々との友好を深める機会が増えていくことを期待しています」と述べた。
一方、現在、衆参両院の議長のもとで、安定的な皇位継承の確保に向けた与野党協議が行われていることについては「男性皇族の数が減り、高齢化が進んでいること」「女性皇族は結婚により皇籍を離脱すること」という事情を挙げ、「公的活動を担うことができる皇族は、以前に比べ、減少してきています」と現状を説明。皇室の将来とも関係する問題だが、「制度に関わる事項については、私から言及することは控えたい」とこれまで通りの回答にとどめた。(力丸祥子、中田絢子)