タイ東北部ウボンラチャタニ県で2021年4月、太陽光パネルの間を歩く作業員=ロイター

 「相互関税」を打ち出したトランプ米政権が「迂回(うかい)輸出」に警戒を強めている。高い税率を避けるために第三国経由で製品を輸出する行為で、「原産地洗浄」とも呼ばれる。特に厳しい目を向けられているのが、米国と対立する中国から生産拠点が相次ぎ移転した東南アジアだ。

【連載】閉じゆく世界 トランプ関税の現場から

トランプ米政権が一方的に高率の関税を課す「トランプ関税」が、世界を揺さぶっています。戦後の自由貿易体制のもとでモノをつくり、取引してきた現場ではいま、何が起きているのか。各地の特派員が報告します。

 カンボジアで太陽光パネルなどを製造する4社の製品に、計約3521%の関税を課す。米商務省は4月21日、そう発表した。このうちの1社、「Hounen Solar」と同じ社名が記された工場が、カンボジアの首都プノンペン郊外にあるという。

 どんな会社なのか。カンボジアの求人サイトに残る約3年前時点の工場の情報には「中国からの投資」とあり、「(製品を)主に米国や欧州連合(EU)諸国に輸出している」と中国語で記されていた。

 プノンペンから車で約1時間…

共有
Exit mobile version