3月末に起きたミャンマーの大地震で夫と2人の娘を亡くした女性は、短期の出家を決意し、僧侶になった。悲しみに暮れる自分と向き合い、永遠の別れを受け入れるために。
今月16日、ニンニンシュエさん(33)は最大都市ヤンゴンの僧院にいた。肩まで伸びていた茶色の髪はそられ、赤紫色のけさをまとっていた。「お元気でしたか?」。落ち着いた表情で迎えてくれた。
朝3時半に起床し、1時間半の瞑想(めいそう)で一日が始まる。食事を挟み、午後は4時間の瞑想。「目を閉じて、息を吸って、吐く。呼吸に神経を集中させようとするのですが、家族の姿や一緒に過ごした記憶が何度もよみがえって涙を止めることができません」。そう語った際もまぶたから涙があふれた。
地震3日後の3月31日、被災地マンダレーで倒壊した「グレート・ウォール・ホテル」。ニンニンシュエさんは「なぜ助けないのか」と救助隊に迫っていた。夫と2人の娘ががれきの下にいたが、鉄筋に経路をふさがれ、救助隊は活動を中断していた。
毎年恒例の旅行中だった「あの時」は40度近い酷暑だった。家族を冷房のきいたホテルに残し、ニンニンシュエさんが車を取りに外に出た時に揺れが襲った。
目の前で下層階がつぶれた。家族がいたのは1階の受付だ。生存を願ったが、4月に入って遺体が発見された。
夫アウンピョーゾーさん(3…