「夫婦同氏制の下においては、子の立場として、いずれの親とも等しく氏を同じくすることによる利益を享受しやすい」。2015年に夫婦同氏しか選べない現行制度を「合憲」とした最高裁大法廷判決の多数意見に書かれている言葉です。この判決に判事として関わり、「違憲」と判断した木内道祥さんは、「これはおかしい」と感じたと言います。個別意見に込めた思いを聞きました。
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「子どもにも利益」とした多数意見
夫婦別氏(別姓)制度の議論の中で、「子どもがかわいそう」など「子ども」が引き合いにだされることがしばしばあります。私が判事として関わった2015年の最高裁大法廷で、夫婦同氏しか選べない現行制度を「合憲」と判断した多数意見も、「子ども」を論の柱の一つとしていました。
多数意見は「家族であることや、子どもが夫婦の嫡出(ちゃくしゅつ)子であることを対外的に示す」「家族の一員だと実感できる」などを夫婦同氏制度のメリットとし、「同氏制度は子どもも利益を享受しやすい」としています。私は多数意見とは意見が異なり、「違憲」とする個別意見を書きました。
そんなに安易なものではない
同じ名字であることは「家族…