現場で作業の練習をする外国人従業員ら=2024年6月16日、千歳市、瀧建設興業提供

 雇用したベトナム人2人は、すぐに失踪した。首都圏の方が賃金が高いことが最大の理由と考えられた。だが、それだけだったのか。

 北海道千歳市「瀧建設興業」の瀧雄一社長(40)は、「思いやりが欠けていた」と振り返る。「国が違えば、歴史や考え方、常識は違う。頭をなでることが侮辱行為になることもある。細かいケアが必要だ」

 それから9年。今は全社員70人のうち、約半分の34人が外国人だ。

 次世代半導体の国産化をめざすラピダスの進出で活気づく千歳市で、「多国籍企業」として注目される。

 従業員はラオス、スリランカ、インドネシア、ロシア、フィリンピンなど13カ国出身。近く、ケニアやウズベキスタンなどからも採用する予定だ。

 8年働く古参のベトナム人、ファン・コン・ティエンさん(29)は、稼いだお金で、母国に自分の家を建てた。

 当初は、頼れる人がいないなかで、仕事や日本語ができないことを責められ、悔し涙を流したことも。今は、次々に入社してくる新人外国人の世話を自ら買って出る。日本で働き、幸せな家庭をつくることが夢だ。

 外国人従業員が担うのは、ラピダスや北海道新幹線などの建設現場。重い材料や道具を持って、高所にわたる仮設の足場を組み立てていく。

 4、5人のチームで作業を進…

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