第107回全国高校野球選手権奈良大会(県高校野球連盟、朝日新聞社主催)が11日、橿原市のさとやくスタジアムで開幕した。今年は暑さ対策で、午後4時から開会式のみが行われた。甲子園をかけた戦いは12日から始まる。
開会式では、県内外から集まった多くの人が見守る中、昨夏に2連覇を果たした智弁学園を先頭に、39校34チームの選手たちが力強く入場行進し、グラウンドを1周した。客席からの大きな手拍子とともに、それぞれの声をスタジアムに響かせた。
県高校野球連盟の村井博樹会長は「高校野球を続けるって簡単なことじゃない。厳しくて辛いこともたくさん経験してきたと思う。それを前向きな力に変えて、自信を持って全力で戦ってほしい」と激励。山下真知事は「みなさんのがんばりは、家族や友人に感動と元気を与え続けてきた。最後の最後まで諦めず、力を振り絞ってプレーすることを願っている」と語りかけた。
式直前には、ヘリコプターから始球式のボールが投げ込まれた。ボールはマウンドに一直線に落下し、会場は大きな拍手と歓声で包まれた。
奈良女大付の中井主将が選手宣誓
開会式では、奈良女大付の中井大雅主将(3年)が選手宣誓した。「野球が私たちの青春を彩り、野球によって人間性が磨かれました」と述べ、野球が中心だった高校生活を振り返った。
奈良県橿原市出身。中学のときから電車と自転車を乗り継いで中高一貫の奈良女大付に通った。最後の夏を戦うメンバーは、6年間苦楽をともに過ごしてきた仲間たちだ。「最後の夏は、簡単に終わらせたくないです」
宣誓の文章は、2年のときに習った国語の先生に添削をお願いし、何度も書き直しながら、家族や仲間らへの感謝など正直な思いをつづった。
そして、宣誓の最後はこう結んだ。「かけがえのない仲間と切磋琢磨(せっさたくま)した日々を信じ、支えてくださった方々、友人、家族の声援を力に変え、この3年間の思いを一投一打に込め、全力でプレーすることを誓います」
智弁学園主将が優勝旗返還
開会式では、昨夏の王者である智弁学園の少路慶斗主将(3年)が優勝旗を返還した。昨夏もメンバー入りしていたが「去年は後ろのほうを歩いていた。今年は優勝旗を持って先頭で入場して、責任ある立場を実感した」と振り返った。
昨秋、今春の県大会では決勝にも進めずに敗退し、今大会はノーシード。「屈辱を晴らせる大会はここしかない」と力を込める。優勝旗は返還したが、「先輩が取ってくれた優勝旗。もう一度勝ち取って、後輩につなげたい」と意気込んだ。