奈良女子大(奈良市)が、明治時代に建てられた記念館の改修費用の一部をクラウドファンディングで募っている。記念館は国の重要文化財に指定されているが、前回の改修から約30年が経過し、傷みが目立っていた。広く資金を外部に募る背景には、国立大学の抱える懐事情の厳しさがある。

改修工事が予定されている奈良女子大の記念館=奈良市北魚屋東町

 記念館は同大の前身、奈良女子高等師範学校の本館として1909(明治42)年に建てられた。中央に塔が載る木造瓦ぶき2階建てで、柱や梁(はり)などの木部を外壁に露出させた「ハーフティンバー」と呼ばれる外観は、同大のシンボルとして親しまれてきた。現在でも大学院の入学式や卒業式に使われているほか、ピアノコンサートなども開かれている。

台風で屋根瓦の一部が欠けた奈良女子大の記念館=奈良市北魚屋東町

 記念館は94年、国の重要文化財に指定され、直前に大規模な改修を施された。だが、その後の台風で屋根瓦の一部が欠け、壁面のペンキも経年劣化で浮き始めた。さらに昨年秋には豪雨で2階のホールで雨漏りが発生。同大総務課の担当者によると、「ちょうど一般公開の最中でバケツを置いてしのいだ」という。空調も古くなり、「暖房を入れても暖まるのに半日かかる。真冬の講演会ではコートが必要でした」。

国の補助金対象外の場所も

 同大では今年8月から改修工…

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