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玉山金山を案内する及川賢治さん=岩手県陸前高田市
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 平安時代末、東北地方を支配した奥州藤原氏。平泉(現・岩手県平泉町)を拠点に、11世紀後半から約100年にわたって権勢を誇った。その初代・藤原清衡(きよひら)らの遺体を安置した中尊寺の金色堂が建立され、今年で900年。東京では金色堂の仏像などを公開する展覧会も開かれた。その栄華は今、どこでしのぶことができるのだろう。

 最初に向かったのは、岩手県立平泉世界遺産ガイダンスセンターだ。奥州藤原氏の政庁・平泉館(ひらいずみのたち)の跡とされる柳之御所遺跡(国史跡)に隣接する場所にあった資料館をリニューアルし、2021年に開館。同遺跡をはじめ、ユネスコ(国連教育科学文化機関)の世界遺産にも登録されている初代清衡建立の中尊寺や2代基衡建立の毛越寺、3代秀衡建立の無量光院跡など、奥州藤原氏関連の遺跡の概要を知ることができる。

 柳之御所遺跡の史跡指定面積は約10.7ヘクタール。県教育委員会生涯学習文化財課の長谷川伸大(のぶひろ)さんによると、1988年以降本格的に開始された発掘で、道路や堀、園池、2棟の「中心建物」を含む多数の掘っ立て柱建物や井戸などが確認された。今も発掘は続けられているが、「まだ全体の半分がわかった程度です」と話す。

 展示を見せてもらった。北上川に隣接する遺跡だけあって、水につかったまま出土した木製品がよく残っている。中でも食器などを載せた縁つきの盆「折敷(おしき)」の断片に、国宝の絵巻「鳥獣人物戯画」とそっくりのカエルが描かれていたのには驚かされた。同課の高橋祐さんによれば、宴席などで用いられた多数のかわらけや中国製の輸入陶磁器などから、この地に各地の文物が持ち込まれていた様子がうかがえるという。

 園池などが復元された柳之御所史跡公園を見学したのち、車で中尊寺を目指す。

黄金の国ジパング

 中尊寺といえば金色堂が思い浮かぶ。内面と外面を金箔(きんぱく)で飾った阿弥陀堂で、柱や須弥壇(しゅみだん)、長押(なげし)にまで南の島でしか採れないヤコウガイを用いた螺鈿(らでん)や蒔絵(まきえ)が施されていることで知られる。保護のためにコンクリートの覆堂という建物で覆われ、さらにガラスで仕切られた金色堂の前で、参拝客が音声ガイダンスに真剣に聴き入っていた。

記事の後半では、奥州藤原氏を主題とした日本唯一の平安時代のテーマパークや、力の源となった金山の跡などを訪ねます。

 東北地方で初めて金が見つか…

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