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死亡した西田真愛ちゃん=フェイスブックから

 岡山市で西田真愛(まお)ちゃん(死亡当時6歳)が繰り返し虐待を受けて死亡した事件で、逮捕監禁致死と強要の罪に問われた母親の西田彩被告(36)の裁判員裁判の判決が11日、岡山地裁であった。本村暁宏裁判長は「母すら助けの手を差し伸べてくれない状況で、終わりの見えない虐待にさらされ続けた被害者の絶望は察するに余りある」と述べ、求刑通り懲役10年を言い渡した。弁護側は判決を不服として即日控訴した。

 裁判では、虐待行為をした元交際相手の船橋誠二受刑者(41)=両罪などで懲役14年の判決が確定=との間に、共謀が成り立つかが争点だった。判決は、西田被告が船橋受刑者に「しつけを任せて虐待のきっかけをつくり、真愛ちゃんの素行を報告し続け、一切制止しなかった」と指摘。2人が意思を通じ合っていたとして共謀の成立を認めた。

 判決によると、西田被告は船橋受刑者と共謀し2021年9月10~25日、自宅で真愛ちゃんを椅子の上に置いた鍋の中に長時間たたせ、指を口に押し込ませるといった暴行を加えて嘔吐(おうと)などを繰り返し強要。同25日には、真愛ちゃんに布団を巻き付けて約1時間半放置し、翌22年1月に低酸素脳症で死亡させた。

 弁護側は公判で、西田被告が船橋受刑者に心理的に支配され、制止は不可能だったと主張。船橋受刑者の虐待を容易にさせた幇助(ほうじょ)にとどまるとして執行猶予付きの判決を求めていた。

 本村裁判長は、量刑理由で「反省の深まりが不十分で、必要なのは早期の社会復帰ではなく、罪と十分に向き合う時間だ」と述べた。(北村浩貴)

■事件の経緯

<2019年>

3月 岡山市に「養育状況が心配」との通告

4月 児相に「男から女児へ暴力か」との通告

<2020年>

9月 真愛ちゃんが全裸で墓地に立たされる。児相が一時保護。2週間後に解除

<2021年>

8月 児相が家庭訪問。真愛ちゃんと会えず

9月10~25日 鍋の中などに立たせるといった虐待

   25日 布団を巻き付ける虐待

<2022年>

1月12日 真愛ちゃんが低酸素脳症で死亡

2月9日 強要容疑で2人を逮捕。その後、逮捕監禁致死容疑で再逮捕

<2023年>

10月 船橋受刑者に懲役14年の判決。その後確定

<2024年>

8月20日 西田被告の初公判

9月11日 西田被告の判決

※県警や市児相への取材、起訴状などによる

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