人生に占める十代の時間は相対的に短くなり、すでに遠い過去であるのに、女子校出身という経歴からは永遠に逃れられない気がする。我が子を一貫女子校へやりたい親からの進路相談は引きも切らず、日本社会では今も需要が根強いのだな、と実感する。
女子校には良い側面がたくさんある。私の母校は勉強もスポーツも、時には校則違反のヤンチャ行為さえも、何かデキる生徒はきちんと一目置かれる、実力主義的な校風だった。世間の目から隔絶された温室で、生理用品を貸し借りし、痴漢の撃退法を共有し、好きな物事の探究に邁進(まいしん)しつつ、将来の夢を熱く語らったものだ。
- 岡田育 ハジッコを生きる
しかし、我が母校はカトリック修道会が母体の私立校だ。根は権威主義的で保守的、家父長制に都合がいい良妻賢母の量産体制が敷かれ、私のような叛逆児(はんぎゃくじ)は教員室と衝突し続けた。学園内ヒエラルキーは家柄や容姿で決められ、実力一つでは覆せない。生徒自身が博士や大臣や女城主になる気まんまんでも、周囲の大人は皇太子妃の輩出を夢見ているような、致命的なズレがあった。
女子校には性別が無い、との…