女川原発2号機(手前右の建物)=2024年10月29日午前、宮城県女川町、朝日新聞社ヘリから、小林正明撮影

 東北電力女川原発(宮城県女川町、石巻市)2号機の重大事故に備えた避難計画には実効性がないとして、住民が運転の差し止めを求めた訴訟で、住民側の弁護団は2日、訴えを退けた仙台高裁判決を受け入れ、上告しないと発表した。

 11月27日の高裁判決は、国の原子力防災会議が了承した避難計画でも「看過し難い過誤や欠落」があれば、人格権が侵害される具体的危険があると推定され、差し止めが認められると指摘。だが今回の訴訟では、計画では対応できない具体的な危険を住民側が立証できていないとして、住民側の控訴を棄却した。

 弁護団は上告しない理由について、「門前払いだった一審・仙台地裁判決と異なり、避難計画の内容に踏み込み、判断基準まで示したことは注目に値し、他の訴訟にとって有益だ」と説明した。

 原告団の原伸雄団長は「苦渋の決断。複雑な気持ちはあるが、全国の他の訴訟に期待している」と話した。

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