「集中して」「ついて行く!」。4月中旬の夜、岡山市内の大学の体育館であった女子ハンドボール「デレフォーレ岡山」の練習。かつて日本代表でもプレーし、チームの主将として身ぶりを交えてアドバイスする角南(すなみ)果帆さん(32)の姿があった。

 デレフォーレは昨年11月、誕生した。岡山県内で今年1月に選手トライアウトを実施し、3月から練習が始まったばかり。岡山を拠点に、昨年9月開幕の国内最高峰の新リーグ「リーグH」に、2027年からの参入を目標に掲げる。

 「私にとっても挑戦。代表やリーグHとの力の差を伝え、みんなのレベルアップにつなげたい」と力を込める。

東京五輪で大けが 一線退いたけど…

 地元・倉敷市のクラブで小学1年からプレーを始め、中学時代に全国大会で優勝した。高校進学を機に岡山を離れ、大阪体育大学でもハンドボールに打ち込んだ。

 社会人2年目で女子日本代表「おりひめジャパン」に選出され、世界の舞台で戦った。姉とともに出場した東京五輪のモンテネグロ戦で大けがを負い「最後までやり切れず、悔いが残った」。けがも重なり、2023年に一線を退いた。

 引退後は家族との時間を大事にしたいと岡山に戻る。ハンドボール漬けの生活を離れ、アルバイトやジムのトレーナーも経験。だが徐々に選手として再び挑みたい気持ちが芽生える。そのタイミングでデレフォーレから誘われ現役復帰した。

 いまは会社勤めをしながら高みを目指す日々だ。教職員や学生、公務員、子育て中など、チームメートも様々な立場の人がいる。

 女性アスリートが、自分のしたいことを、長く続けられるように――。競技を続けたかったのに引退せざるを得なかった自身の経験から伝えられることがあると考えている。

 ハンドボールの枠を超え「出産や結婚などのライフスタイルの変化があっても、女性が再び競技に戻ることができる環境、きっかけづくりをしていきたい」。

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 デレフォーレの由来 岡山弁の「でぇーれぇ」(ものすごい)や、「ほーれ」(投げろ)の言葉に、イタリア語の花を意味する「フィオーレ」を組み合わせた造語。チームカラーは岡山の名産「白桃」からピンク。GKのユニホームは薄い緑色で、マスカットの色をイメージしている。

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