カルティエ ジャパンプレジデント兼CEO(最高経営責任者)の宮地純さん

 フランスの宝飾メゾン「カルティエ」は、今月13日開幕の大阪・関西万博に「ウーマンズパビリオン(WP)」を出展する。内閣府などと連携し、女性の社会的立場や可能性に焦点を当てる。カルティエ ジャパンプレジデント兼CEOの宮地純さんがインタビューに応じ、WPでの目標や女性活躍について語った。

 「あらゆる人の『意識スイッチ』をオンにしたい」。WPでの取り組みを、宮地さんはこう話す。小説家の吉本ばななさんらが参画する空間演出のほか、半年間の会期中に150超の講演会やパネル討論会を予定している。「教育と政策」「芸術と文化」「ビジネスとテクノロジー」などが主なテーマだ。

 「多様性を取り込んで進化することは、社会の活性化に向けて大きな可能性を秘めている。にもかかわらず、そうした認識はまだまだ浸透していない」。そんな現状を打破する「スイッチ」を押す役目を担う。

 同社のマーケティング&コミュニケーション本部長を経て、2020年夏、CEOに就任。コロナ禍まっただ中、ほぼ全ての店舗を閉めざるを得ない状況を前に、宝飾業の存在意義を自問。「ジュエリーは生活必需品ではない。それでも、人の心や社会、文化に対してどう貢献できるのか」。そうして、現代美術やハイジュエリーの展覧会のほか、社内外の研修などに力を注いできた。

 女性に特化した社内幹部向けのトレーニングでは、当初「なぜ女性だけ?」という疑問があったが、自身が参加して理解が深まった。人前で話すことが苦手だったり、自分が能力不足だと思ってしまったりする自身の悩みを「個人レベルの問題」として打ち明けたら、全員が共通して抱えているものだとわかった。「肩書を超えてつながることができた体験だった」。WPの出展は、宝飾業とはかけ離れているような、こうした活動を積み重ねてきた結果だという。

 カルティエでは1933年に…

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