東京国立博物館で特別展「江戸☆大奥」が開かれている。キャッチコピーは「そろそろお話しましょうか。わたくしたちの、真実を」。興味本位の「のぞき見」ではなく、女性たちが自ら語り出すという趣向だ。
徳川将軍の世継ぎを産み育てるハーレムである大奥は、謎多き華やかな世界として庶民の関心をひいてきた。展覧会冒頭では、NHKのドラマで使用された江戸城の御鈴廊下のセットが登場する。
第1章「あこがれの大奥」で示されるのは、明治期に想像で描かれた揃物(そろいもの)「千代田の大奥」など、人々が大奥に抱いてきた妄想の数々。御鈴廊下も、あくまでハリボテなのだ。
第2章以降は、歴代の御台所や側室、女中らのゆかりの品を通して、大奥に生きた女性たちの姿を追う。5代将軍綱吉が側室・瑞春院へ贈った掛袱紗(ふくさ)の豪華さは、綱吉の子を産んだ唯一の女性であることで彼女が得た寵愛(ちょうあい)と地位を物語る。
一方、綱吉の養女・竹姫は婚…