多いときでも女性は2人だけ。そんな市町の議会で今春、これまでにない勢いで女性議員が増えた。人口も多くはない非都市部で何が起きたのか。現地を訪ねた。
一気に4割超
神戸市から約100キロ離れた、兵庫県中西部に位置する宍粟(しそう)市。大部分が山地で、西は岡山県と隣接する。
2005年に4町が合併してできた同市の当初の人口は約4万6千人だったが、今年4月末現在、約3万3千人にまで減っている。
その宍粟市で、4月にあった市議選(定数16)で21人が立候補し、いずれも新顔の女性8人のうち7人が初当選した。
同市の女性市議は2人が過去最多。無投票だった4年前の選挙では女性は1人だった。それが今回の選挙で女性の比率が一気に4割を超えたのだ。
5月20日、市議選後初の議会が開かれた。
「今までと雰囲気が全然違う」
そう何度も繰り返す3期目の男性議員の言葉に、初当選した船元良子さん(48)は「変化」を意識した。
京都市出身で保育士だった船元さんは、のびのびと子育てできる環境が気に入って14年に夫の故郷である宍粟市へ移ってきた。
だがほどなくして、戸惑いと直面する。
「女性だけ事務服着用」「お茶くみは女性の仕事」「子どもは女性が育てる」「女性は発言を控える」
そんな事例や言葉を見聞きした。
始まった「女性リーダー育成」
一方で、自治会役員のなり手が不足するなど、人の流出や高齢化は止まらない。
子育てをしたくて宍粟市に来たのに、このままでは次世代が働く場も教育の選択肢もなくなるのではないか。
船元さんの違和感と危機感を…