先の衆院選で国会の勢力図は大きく変わったが、女性当選者の割合はまだ15%。第2次石破内閣の女性閣僚もわずか2人にとどまる。どうしたらジェンダー平等に近づけるのか。2019年から国連の女性差別撤廃委員会(CEDAW)の委員を務め、世界140カ国の状況を審査してきた亜細亜大学の秋月弘子教授(国際法学)はジェンダーをめぐる「日本の当たり前は世界の非常識になっている」と指摘する。
――CEDAWの仕事はどのようなものですか。
家族関係などの私的な領域から政治経済まで、あらゆる分野でジェンダー差別をなくす措置を取るよう求める女性差別撤廃条約という条約があります。日本を含めて189カ国が締約しています。委員会はこの締約国の状況を審査し、解決策などを提案します。具体的には、私たち委員が1年に3回ジュネーブに集まり、1回に8カ国ずつ審査していきます。その国の政府の他に、市民団体などからも報告書を上げてもらい、そこに性差別があるのかないのか、精緻(せいち)な「ジェンダーレンズ」を通して見ていきます。
――世界経済フォーラムが発表するジェンダーギャップ報告書でも日本は146カ国中118位。特に政治の分野での遅れが目立ちます。
CEDAWは10月、これまで加盟国個別の状況を見て勧告してきた女性の政治参加の目標について、これからはどんな状況であっても、パリテ(男女同数)を目指すことを決めました。
日本は衆院選で女性当選者の割合が15%を超えましたが、すでに世界の平均は30%近い。日本の当たり前は世界の非常識という状況になっています。
――CEDAWは10月、日本に対し候補者男女均等法を改正して罰則を設けることなどを含む最終見解(勧告)を出しました。何が問題だと考えていますか。
日本の候補者男女均等法には…