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高川学園―未来富山 六回表高川学園1死二塁、遠矢は左越えに適時二塁打を放つ=藤尾明華撮影
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 (11日、第107回全国高校野球選手権大会2回戦 高川学園8―5未来富山)

 うんうん、なるほど。高川学園の4番・遠矢(とおや)文太がそんな具合にうなずいた。2点を追う二回の第1打席、1球目を見た後だ。「イメージ通りだな、と思って」。2球目のカーブを狙い打つ。打球は浜風にも乗って、左翼フェンスを越えた。

 対戦相手となった未来富山のエース江藤蓮は、U18(18歳以下)日本代表候補合宿にも選ばれた好左腕だ。遠矢は「抽選会から1日2時間ほど映像を見た」。天候不良の影響で、試合が当初の予定より1日遅れ、分析する時間に余裕が生まれた。

 その結果で導き出した攻略法は、「右打者の内角に直球は来ない。甘く入ってきた変化球を思い切り引っ張る」。チームの徹底事項を体現する、お手本のような攻撃になった。

 同点の四回には、大雨の影響で甲子園への到着が遅れていた高川学園の応援団が一塁側アルプス席に入場してきた。太鼓の音が響くと、内野席はそれに合わせた手拍子に包まれる。

 マウンドの江藤がプレートを外す。2死満塁。打席には遠矢がいた。「あの応援は大きかった」。チェンジアップをとらえ、中越えの3点適時二塁打に。さらに、六回の第4打席は左越えに適時二塁打と、計5打点をたたき出した。

 毎朝、自分の打席を思い描いていたという。朝食のとき、松本祐一郎監督が「どう打つか」と問う。想像を膨らませる。バックスクリーンへ、左翼スタンドへ――。何もかも、「イメージ通り」だった。

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