A-stories 「きょうだい間格差」私も愛して欲しかった③
母は3歳下の妹しかほめなかった。
小学生のとき、テストで100点をとって見せても、母は「ふーん」と素っ気なかった。でも、80点をとった妹には「がんばったね」とほめた。
電子オルガンのコンクールで、金賞をもらったときも何も言われなかった。妹は少し弾けただけで「がんばって弾けたね」と言われるのに。
母にはいつもこう言われた。
「あんたは、なんでもできて当たり前。でも、妹は普通の子やから」
九州地方に暮らす女性(32)は幼いころから、自分と妹との間に、母親の愛情の差を感じてきた。
妹とけんかになってたたかれると、母は妹を叱るのではなく、「たたかれるあんたが悪い」。妹にお菓子をとられたときも「お菓子を残しているあんたが悪い」となじった。
小学6年生のとき、肺炎で学校を休んだことがきっかけで、不登校になった。母と訪ねた心理カウンセリングで、母はこう言った。「この子を子どもとして見たことはないです。私の同志で、分身だから」
高校は、母が決めた学校に進学した。本当は音楽科がある高校に進みたかったが、「そんなとこ行ってどうすんの」と言われてあきらめた。でも、妹が美大に行きたいと言ったとき、母は文句を言いつつも、最終的に「やりたいことをやりなさい」と背中を押した。
友達と外出する機会が増えると、母の干渉が始まった。
午後6時の門限を少しでもす…