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 能登半島を代表する観光地・白米(しろよね)千枚田を眼下に見下ろす道の駅「千枚田ポケットパーク」(石川県輪島市)が26日、営業を再開した。昨年1月の地震で休業してから1年4カ月ぶり。自宅と家族を失い、くらしと店の再建を同時に進めてきた運営会社の社長は「ふるさとに元気を取り戻す第一歩に」と心に期す。

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客に応対する出口弥祐さん(中央)=2025年4月26日、石川県輪島市白米町、樫村伸哉撮影

 開店1時間前の午前9時すぎ、最初の客が訪れた。塩やみそ、コーヒーを買った男性に「頑張って」と声をかけられると、出口弥祐さん(78)は笑顔で、「ありがとうございます」と答えた。

 ずっと何もなかった商品棚には、菓子や海産物、輪島塗の箸といった地元の特産品が並ぶ。取引のあった約80の業者に出品を頼んだが、地震で廃業や休業、移転したところも多く、集まったのは23業者の品々で、棚には空きも目立つ。

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道の駅「千枚田ポケットパーク」=2025年4月26日午前8時55分、石川県輪島市白米町、樫村伸哉撮影

 「さみしいけれど、いつまでも休めない。連休に間に合ってよかった」と胸をなで下ろす。

 出口さんは昨年の元日も店にいた。他のスタッフに任せて昼すぎに店を出て、京都から帰省した次男(47)と市中心部で落ち合い、自宅に向かっていたとき、地震に襲われた。

 あと2、3分の距離だったが、がけ崩れで道路が寸断され、進めない。車を乗り捨て、歩いてたどり着いた自宅は、崩れた裏山にのまれていた。

まちも田も、少しずつ進む復興

 約2週間後、妻の正子さん(…

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