国宝・世界遺産の姫路城(兵庫県姫路市本町)で12日から、「小天守」や「渡櫓(わたりやぐら)」の非公開エリアが特別公開される。大阪・関西万博の開幕に合わせた企画で、三つある小天守の内部が同時に公開されるのは、姫路城の一般公開が始まった大正元(1912)年以降初めてという。
特別公開されるのは、北東の角に位置する「東小天守」、北西角(戌亥(いぬい))の「乾小天守」、西南角の「西小天守」と、それぞれに接続しているイ・ロ・ハの渡櫓の計6棟。これらが一度にオープンになることで、大天守と小天守がつながる「連立式天守」のほぼすべてを周遊できることになる。ニの渡櫓だけスペースと動線の関係で非公開のままだ。
このうち乾小天守の格子のない窓からは大天守(北西面)の圧巻の姿を見ることができる。東小天守と乾小天守をつなぐロの渡櫓は東西に28.8メートルもある広々とした渡り廊下で、映画の撮影にも使われた。
市立城郭研究室の元学芸員、工藤茂博さん(61)は「連立式天守は城の防御力を高める構造。火砲による攻撃から城中央部を守ろうとしていた。その姿が今回の公開によってよく分かると思う」と話している。
公開は4月25日までの午前9時~午後4時(最終受け付け)。午後3時までには入城改札口の通過を。観覧料は大人(18歳以上)1千円、小中高生300円(姫路城縦覧料が別途必要)、未就学児無料。