世界遺産・姫路城の二重料金化を検討してきた兵庫県姫路市は、市民以外の入城料を現行の1千円から2500円へ引き上げ、市民は1千円に据え置く新料金案をまとめた。関連する改正条例案を17日開会の市議会に提案し、周知期間を置いた上で2026年3月に導入する。
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市によると、天守に登れる城の料金(一般)としては大阪城の1200円(25年4月から)や松本城の1300円(同、紙チケット代)を上回り、国内で最も高くなるという。
市民料金を据え置いたのは城への愛着を醸成するためで、市民かどうかはマイナンバーカードで確認する方針。18歳未満は市民・市民以外を問わず全員無料にする。
姫路城の維持管理は市の一般会計で賄っている。今後は、石垣の耐震補強や江戸時代の施設の復元といった特別な経費が必要で、デジタル技術を使った新展示も導入する予定。人件費増や物価高の影響も続くとみられることから、市は今後10年間で、過去10年のほぼ倍に当たる約280億円もの整備費が必要になると推計した。
補修には国からの補助もあるが、200億円程度の経費は入城料収入で賄う必要があり、値上げによる入場者減も考慮しつつ、2500円という額を算出したという。
一時、清元秀泰市長が訪日外国人だけを値上げの対象にする考えを披露したことがあったが、判別が難しいうえ、議会で反対の声があったことなどから見送った。
市長「大切な世界の遺産、守っていく使命ある」
姫路市の清元秀泰市長は14日の記者会見で「姫路城は物見遊山的な展望施設でもシンデレラ城でもない。400年前からの大切な世界の遺産を守っていく使命がある」と述べ、入城料の値上げに理解を求めた。