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ジェンダーと身体について研究している明治学院大学の合場敬子教授=2024年5月29日午後3時28分、横浜市戸塚区、宮野拓也撮影

 エステや美容皮膚科の「脱毛キャンペーン」は、近年「夏の風物詩」のようになっている。「学割」や「キッズ割」など、子どもを対象にしたものも珍しくない。果たして、脱毛は「自由な選択」の結果、広がってきたものなのか。ジェンダーと身体について研究してきた明治学院大学の合場敬子教授(ジェンダー論)に聞いた。

  • 無毛な身体が「自然」 規範化する脱毛観、明治以降に浸透

 ――2年前に論文「無毛化する女子高生の身体」を書かれました。なぜ女子高校生を研究対象にしたのでしょうか。

 これまでどのような女性の身体が「望ましい」「きれい」とされるか、という規範について研究してきました。

 高校生の前に、女子プロレスラーを研究対象にしました。女子プロレスラーは、筋肉をつけた「強い女性」で、「女性は細いほうが望ましい」という日本の美の規範に抵抗する存在です。一方で、女子高校生は「規範を受容しているのでは」という仮定で、研究を始めました。

 ――どのように研究したのですか。

 神奈川県内にある私立の男女共学高校で、2018年4月から19年2月まで、参与観察とインタビューをしました。参与観察とは、ふだんの授業や学校行事に参加し、観察をするものです。

 生徒との大きな年齢差はありますが、私が教室に一緒にいても違和感を感じさせないように努めました。その結果、1年生から3年生の女子生徒32人がインタビューに協力してくれました。

 ――結果はどうでしたか。

 32人のほとんどが、わきの…

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