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「こども★若者いけんプラス」のしくみ

 国が施策を決める過程に、子どもや若者の意見をとり入れる――。こども家庭庁が発足して4月で3年目を迎え、同庁が進めるしくみが、ほかの省庁にも広がり始めている。どのようなしくみなのか。

 同庁の発足とともに施行された、子どもの権利をうたった「こども基本法」。その基本理念には、子どもの意見表明や社会参画の機会を保障すると明記されている。

 子どもや若者の声を制度や施策づくりに反映させるためつくられたのが「こども若者★いけんぷらす」だ。

 登録している小学生~20代の約4千人(2023年7月1日時点)から、対面やオンライン、アンケートなどで意見を集め、可能なものは反映させる。どう反映させたか、なぜ反映させなかったのか、フィードバックしている。

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「こども若者★いけんプラス」の登録者の年代別内訳

 たとえば、同庁は少子化対策の一環で、結婚や子育てにどのような希望や課題意識をもっているか、意見を募った。

 「結婚しなくてもパートナーとして一緒に暮らすことはできる」「SNSでネガティブな情報に触れている人は結婚に後ろ向きになると思う」などの意見は、検討会の中間報告に盛り込まれた。「妊娠・出産・育児について知識面で身についていないのが未知数なので不安」などの意見は、若い世代が主体のプロジェクトチームをつくり、効果的な情報発信をするとりくみなどの概算要求(25年度予算)につながった。

 法務省は「ヘイトスピーチをなくそう」をテーマに意見を募った。16年施行の「ヘイトスピーチ解消法」に罰則を設けるべきだといった意見が複数あった。これに対し、国会でも罰則が必要という意見があったが、表現の自由を保障する憲法をふまえ、ヘイトスピーチに該当しない表現が罰則を恐れてできなくなることがないよう、罰則はあえて設けなかった、などとフィードバックした。

 いけんぷらすの運営は、子どもや若者が担う。意見をくみ上げるポンプをイメージし、「ぽんぱー」と名付けられた運営のための組織は、全国から集まった約20人で構成。話し合いたいテーマをメンバーから募集したり、SNSを使った広報をしたりしている。

 地方でも子どもや若者の意見を聴けるようにしようと、昨年12月には北九州市で、いけんぷらすのメンバーになると参加できる意見交換の場をつくった。企画に携わった、ぽんぱーの高校生は「『自分の住んでいる地域に近いと参加しやすいから、続けてほしい』という声があり、やってよかった」と振り返る。

 いけんぷらすの情報はLIN…

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