東京電力福島第一原発の事故で子どもが激減した福島県富岡町で、14年ぶりに学習塾を再開させる親子がいる。いわき市の川崎葉子さん(74)と瑞穂さん(43)。「採算を取るのは難しい」と分かってはいるが、「被災地の未来のため」という思いが2人を突き動かした。
再開するのは「川崎学院・富岡校」。町唯一の小中併設校のすぐそばの民家を改修し、3月31日に開校する。小中学校の基本的な教科が対象で、高校生の個別指導も可能。いわき市から週3日ほど2人が通って教える。
川崎さんは富岡町夜の森地区の出身。早稲田大政治経済学部を卒業し、30歳のときに富岡の実家で学習塾を始めた。子育ての傍ら、双葉郡や南相馬市で同時に最大5校を経営した。途中から語学が堪能な娘の瑞穂さんも教壇に立つようになった。
自宅は夫の出身地の双葉町に建てた。第一原発から約3キロにあり、今は除染で出た土を保管する中間貯蔵施設になっている。事故後、一家は知人を頼って福井県に避難。当時は塾4校に約100人の児童生徒が通っていたが、閉校せざるを得なかった。
避難先の福井県でも川崎さん…