岩手県大槌町の山間部・金沢地区にある臨済宗大勝院で10日、新住職が就任する「晋山式」が50年ぶりにあり、子どもたちによる「稚児行列参り」が華やかに行われた。高齢化・過疎化が進む地区も、この日は檀家(だんか)や見物客でにぎわった。
大勝院は江戸時代に盛岡藩を治めた南部氏の祖先の霊所とされる。室町時代、大槌城を攻めて戦死した南部守行を火葬した場所で1439年に創建。江戸時代初期に今ある金沢地区に移ったとされる。そんな由緒ある寺の12世住職に、谷藤邦範さん(47)が父の禅邦さん(74)を継いで就任した。
稚児たちは、近くの公民館から寺までの約250メートルを、先導の僧や邦範さんらに続いて歩いた。先代は稚児行列をしなかったが、今回は、檀家(だんか)の子どもや、過疎や高齢化が進む地区住民が集う機会になればと実施した。
町によると金沢地区の住民は約330人。12歳以下は21人しかいないが稚児を募集すると、地区外に住む檀家からも応募があり46人が参加。地元から稚児になった三浦颯碧さん(4)は「着物がかっこよくて、楽しかった」と付き添った両親に笑顔で話した。
邦範さんは「稚児は10人も来ればと思っていたが。この寺は地域と一体の寺なので守る責任の重さを感じる」と気を引き締めていた。