参道の階段で記念撮影する子どもたち=2025年5月10日午後、岩手県大槌町金沢、福留庸友撮影

 岩手県大槌町の山間部・金沢地区にある臨済宗大勝院で10日、新住職が就任する「晋山式」が50年ぶりにあり、子どもたちによる「稚児行列参り」が華やかに行われた。高齢化・過疎化が進む地区も、この日は檀家(だんか)や見物客でにぎわった。

 大勝院は江戸時代に盛岡藩を治めた南部氏の祖先の霊所とされる。室町時代、大槌城を攻めて戦死した南部守行を火葬した場所で1439年に創建。江戸時代初期に今ある金沢地区に移ったとされる。そんな由緒ある寺の12世住職に、谷藤邦範さん(47)が父の禅邦さん(74)を継いで就任した。

新住職の谷藤邦範さん(右端)に続いて境内を歩く子どもたち=2025年5月10日午後、岩手県大槌町金沢、福留庸友撮影

 稚児たちは、近くの公民館から寺までの約250メートルを、先導の僧や邦範さんらに続いて歩いた。先代は稚児行列をしなかったが、今回は、檀家(だんか)の子どもや、過疎や高齢化が進む地区住民が集う機会になればと実施した。

 町によると金沢地区の住民は約330人。12歳以下は21人しかいないが稚児を募集すると、地区外に住む檀家からも応募があり46人が参加。地元から稚児になった三浦颯碧さん(4)は「着物がかっこよくて、楽しかった」と付き添った両親に笑顔で話した。

 邦範さんは「稚児は10人も来ればと思っていたが。この寺は地域と一体の寺なので守る責任の重さを感じる」と気を引き締めていた。

参道の階段をのぼる子どもたち=2025年5月10日午後、岩手県大槌町金沢、福留庸友撮影
小雨交じりのなか行われた稚児行列参り=2025年5月10日午後、岩手県大槌町金沢、福留庸友撮影

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