誕生したばかりの家畜の子牛を、出産したばかりの人間の写真家が写す。
大阪・関西万博に、家畜写真家・タキミアカリさん(34)の作品が飾られている。食を通じて命を考える「EARTH MART(アースマート)」の家畜コーナーで、放送作家・小山薫堂さんのパビリオンだ。
タキミさんを家畜の世界へと駆り立てたのは、10年前の経験だった。
学生時代は何も考えず、親の敷いたレールの上を歩んできた。大学を卒業し、急に目の前のレールがなくなり、道に迷った。
銀行に就職したが、1年働いてもしっくりこない。「海外で暮らしてみよう」。英語を習得したいという思いもあり、自然豊かなニュージーランドへと、ひとり飛び立った。
牧場で働くようになった。北…