バディプログラムに参加している2人。この日、女の子は初めて手をつないでくれた=2024年11月10日午後3時31分、名古屋市東区、三宅梨紗子撮影

 親子でもなく、先生と生徒のような上下関係でもない。横並びの「相棒」の関係だから、居心地がよい。

 ボランティアの大人と子どもの2人1組が、遊びなどを通じて定期的に交流する活動が広がっている。孤独感を抱える親も子も、ボランティアに参加する大人も、信頼できる「もう1人」の存在が支えになっているという。

 都内の団体が運営するプログラムで、マッチングを経てこれまでに約150組の「バディズ(相棒)」が誕生したという。

 「だーるまさんがこーろんだ」。11月のある晴れた日曜日、名古屋市内の公園に、元気な声が響いた。縦横無尽に走り回る女の子(5)を、そばで見守っていた女性が慌てて追いかける。ブランコにかくれんぼ。遊びは尽きない。

 夕方の4時。そろそろ帰る時間になると、2人は互いに「バイバイ」をして別れた。

 初めて会ったのは9月。それから月2回、公園や児童館などで遊んでいる。

 2人が参加するのは、東京都渋谷区の一般社団法人「We are Buddies(WAB)」が始めた「バディプログラム」。月に2回、1回につき数時間程度、他人同士だった子どもと大人がバディズとして、2人で一緒に遊んだり、宿題に取り組んだりする。

 名古屋市の公園で遊んでいた20代の女性は、大学で福祉を学んだ。子どもが好きだったこともあり、大人バディの活動に興味をもった。会社員として働く職場には、時短勤務やフレックス制度を利用しながら子育てをしている人が多く、「何か力になれることはないだろうか」とも思っていた。家族以外の大人が関わる子育ての可能性を感じ、ボランティアに登録した。

 WAB事務局の西角綾夏さん(27)は、「親には子育ての協力者が増え、子どもには親以外に信頼できる大人が増える」と活動の意義を語る。自身も当時5歳の女の子のバディになった経験がある。手紙や言葉で「ありがとう」「楽しかった」と率直に感情表現する子どもバディと接し、「人見知りの自分が刺激をもらっていた」と話す。

初めて完食したお子様ランチ 娘の成長感じた母

 WABは今年度から、母子家庭の親子の住まい探しを支援する認定NPO法人「LivEQuality HUB(LQH)」(名古屋市東区)とのコラボも始めた。

 同法人では、保証人や初期費用の確保などに困難を抱える母子家庭に、通常より安い住まい探しの支援や、入居後も離婚の手続きや児童手当の申請などのサポート、市民の寄付による食料品、生活用品の支援なども行っている。

 代表理事の岡本拓也さん(47)は、WABとの連携の理由を「生活の基盤となる住まいの支援から、次はいかに人とのつながりをつくっていくかが重要だと感じていた」と話す。

 女の子の母親もLQHを通し…

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