海外転勤に伴い、パートナーと帯同する女性のなかに自身の仕事を退職して同行するケースがある。「駐在員の妻」としてキャリアが断絶され、孤独感に悩む女性も多い。
国際女性デーの8日、駐在員の妻の悩みに応えるイベントが名古屋市内で開かれた。駐在が決まった人やその家族、駐在を終えて帰国した人など約40人が参加した。
「駐在生活のゴールを決め、意味づけすることが大事です」
元「駐妻」で臨床心理士の前川由未子さん(35)は参加者にこう呼びかけた。将来どんな自分になりたいかを決め、それを達成するために現地でどんな活動をすれば良いか考えることで、前向きで充実した生活を送れる、とアドバイス。「自分の存在や駐在生活に意味を見いだすことで、幸福感を得られやすくなる。とにかく自分で自分の存在価値を認めてあげて」と話した。
そんな前川さんも、駐在生活は順風満帆ではなかったという。
悩み、追い詰められ、よぎった「死」
2020年春、駐在員になった夫と1歳6カ月の長女とともにタイ・バンコクへ渡航した。当時、妊娠8カ月。日本にとどまることも考えたが、「夫なしで子どもを2人育てるのは想像できなかった」という。
幼い頃に父の仕事の関係で米国に住み、高校時代に短期留学するなど海外経験は豊富だ。バンコクは住みやすく、駐在員に人気の都市だと聞いており、前向きな気持ちで海を渡った。
だが、新型コロナの流行で渡…