強烈だった日差しも和らぎ、海はぼんやりまどろんでいる。ハゲイトウはもうずいぶん赤く色づき、秋が深まってきたことがわかる。

 美しい風景の中で異様な存在感を放っているのは、夏の名残のヒマワリだ。黒々と詰まった種の重みでうつむく姿は、立ったまま息絶えた死体のよう。

高島野十郎「海辺の秋花」(1953年ごろ)=個人蔵

 だが、種は来年また花を咲かせる。季節と命が巡る表現は、高島野十郎(やじゅうろう)が傾倒していた仏教の、輪廻(りんね)転生の思想につながるのかもしれない。

 福岡県立美術館の高山百合・…

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