(10日、第72回春季東北地区高校野球大会1回戦、久慈6―5山形中央=延長十一回タイブレーク)
「うぉーし!」。延長十一回表、2死二塁。2点適時二塁打を浴びて勝ち越された後のマウンドで、久慈の宇部奨人投手(3年)は雄たけびを上げ、気合を入れた。
「3点目はやらない。自分が投げる以上絶対勝つ」
野手の失策でこの打者には出塁を許したが動じず、次打者を中飛に打ち取り、裏の逆転サヨナラ勝ちに繫げた。
反省があった。2週間前の盛岡大付との県大会決勝では延長十回に四死球を連発。弱った気持ちの投球を外野に運ばれ、サヨナラ負けした。
県大会後、「ピンチでも前向きに」をテーマにチーム全員で取り組んできた。宇部智也主将(3年)の発案で、練習でもミスした選手が率先して声を上げるよう努めてきた。
「今日はエースの奨人が一番、それを実践してくれた。明日もミスでも下を向かない全員野球で勝つ」と宇部主将は力を込めた。