千葉県産のスギなどを使い、新設された流山市立おおぐろの森小学校の校舎=同市教育委員会提供

 木材を使った校舎が増えている。2022年度に新築された公立学校では、約7割で木材が使われた。子どもたちの安全面や学習環境への配慮に加え、木や森林の大切さを学ぶ「木育(もくいく)」につなげるねらいもあるようだ。(石平道典)

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 東京都心から車や電車で約1時間半。神奈川県の西部に位置する南足柄市は人口約3万9500人の自治体だ。ここでは現在、5校ある市立小学校すべての昇降口を、市産の木材を使ってリニューアルする「昇降口木質化プロジェクト(通称、みんなの森の会議)」が行われている。

みんなで考える地元産材を使った昇降口

 市域の約7割を森林が占め、スギやヒノキが多くある。市は小学校の木造化、木質化を進めることで、児童や市民に木に親しんでもらうとともに、林業の振興にもつなげたい考えだ。

 プロジェクトは昨年12月に始まり、児童らは、昇降口の新しい使い方やデザインを考えるワークショップや、森や製材所の見学などに参加した。事業を受託したのは、数年前に横浜市から移住した1級建築士の島崎衛(まもる)さん(50)。豊かな自然にほれ込んだといい、木育も意識して活動している。

 島崎さんはワークショップで出たアイデアをいかし、ひとり1箱の着脱式の木製げた箱を設計。「ハコミー」と名付けた30センチ四方の木箱を、板にかけて使ってもらう。壁や柱、天井を木質化する際のカラーデザインも、児童へのアンケート結果を反映させる。

 島崎さんは「どういう昇降口がいいか、子どもたちと一緒にデザインを考えたかった。昇降口が単なる昇降スペースではなく、南足柄市の森林を見つめる入り口になってほしい」と期待を寄せる。

 昇降口のリニューアルはまず…

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