災害時に障害者がどんなことに困るのかを調べ、発表する子どもたち=2025年9月5日午前11時52分、大阪府高槻市田能の市立樫田小学校、滝坪潤一撮影(画像の一部を加工しています)

 災害が起きた時に自分自身ができる行動について考えてもらおうと、大阪府高槻市の市立樫田小学校で5、6の両日、児童が学校に泊まり込む防災学習が行われた。大学生、地元の人、企業関係者など様々な立場の人も参加し、子どもたちに「災害への備え」を伝えた。

 樫田小は高槻市北端の盆地にある。JR高槻駅から市営バスで40分ほど。森の中の狭い道を抜けると、たどり着く。

 豊かな自然の中での少人数教育や地域との連携を特色としており、通学区域外からの入学や転学を認める特認校だ。

 1~6年生の全校児童は51人。地元の子は4人しかいない。47人は市営バスで通う。

 そのため、災害時の「孤立」は自分ごとだ。

 2018年の台風21号では、市営バスが通る道路が通れなくなった。西村大樹校長は23年、地域の防災ワークショップに参加し、そのリスクを再認識した。PTAが実施していた学校に宿泊する催しを、昨年から学校行事にして、防災をテーマに据えた。

 2年目の今年は、関西大社会安全学部の学生たちが、段ボールトイレや新聞紙で作る食器の作り方を教えた。地元の人たちによる市民防災協議会は、けがをした時の応急処置や心臓マッサージのやり方を説明した。

 三菱地所レジデンスは、トイレが使えない時に凝固剤で固めて捨てる簡易トイレの疑似体験をしてもらった。企業のSDGs(持続可能な開発目標)の取り組みを1分間で紹介する「SDGsラジオ」の中から、JR西日本の電車の安全対策を聞いてもらうコーナーもあった。

 子どもたちは「災害時に誰も取り残さない」をテーマに、日本語に不慣れな外国籍の人や高齢者、障害者、妊婦、ペット連れの人が災害時にどんなことに困るのかを調べて発表した。

 夕食は、児童各自が学校に保管している3食分の非常食の一部を食べた。アレルギー対策のため、名前を書いた段ボールに入れている。児童が企画したキャンプファイアを楽しんだ後、自分たちで組み立てた段ボールベッドや教室に敷いた畳の上で眠りについた。

 6年生の舩津彩葉(いろは)さん(11)は「家にある防災グッズを確認しないといけないと思った。オカメインコを飼っているので、一緒に避難できるグッズもあるのか気になる」と話していた。

 西村校長は「災害時に助けてもらうにしても、何を助けてもらうのかを判断できるようになってほしい。様々な立場の人の価値観に触れ、自分の価値観の幅も広げてくれたら」と話している。

共有
Exit mobile version