群馬県みなかみ町の2小学校で行われた健康診断で、学校医で70代の男性医師から下半身をのぞかれた、などと複数の児童が訴えていたことがわかった。
- 児童の下半身の検診「必要」でも「説明不足だった」担当医の一問一答
7日夜、この医師は町教育委員会が保護者らと報道機関向けにそれぞれ開いた説明会に出席。事実を認め、「性徴を確認するのが、専門家の立場だ。外性器と陰毛の生え具合などを確認している」と説明した。学校医でいる限りは下半身の視診は続けるとした一方、「今になれば、事前に説明する必要があったと思う」とも述べた。
町教委は、児童への配慮に欠けた行為があったなどとして、保護者に謝罪。今後、この医師が担当していた2校の学校医を別の医師に委託し、児童の心のケアなども行うという。
町教委によると、4日、2校の1~6年生約100人を対象に行った健康診断で、同医師による内科検診後、「下着を引っ張られて下半身を見られた」、下半身の触診を受けたなどと訴える児童が、男女複数人いた。泣き出す児童もいたという。
医師は昨年も小学校で内科検診をしており、「昨年も下半身を触られた」と話す児童もいるというが、昨年は、学校側に苦情はなかったという。
文部科学省は1月、児童生徒のプライバシーに配慮した健康診断の環境整備を求め、全国の教育委員会に通知。検査時の服装を「原則、体操服や下着等の着衣、またはタオル等により身体を覆う」などとし、医師が必要に応じて着衣をめくって視触診したり、聴診器を入れたりする場合は「児童生徒等や保護者に対して、事前に説明を行う」ことを例示している。
通知に強制力はないが、同省の担当者は「個人の尊厳を大切にする意識の高まりを受け、配慮を求めて周知した」と説明。「今後も各自治体の担当者への説明を続けていく」と話す。健康診断のあり方について、「各学校と学校医が共通認識を持って連携することが重要」とした。(杉浦達朗、寺島笑花、三宅梨紗子)