学校での盗撮が後を絶ちません。ネット上には、学校内で撮影されたとみられる画像や動画が数多くあります。ボランティアでネットパトロールを続ける「ひいらぎネット」代表の永守すみれさん(35)によると、スマートフォンの普及により、子どもが子どもを盗撮する事例も増加傾向にあるといいます。「子どもの犯罪を大人があおり、消費している構図もある」と永守さん。子ども間の盗撮について話を聞きました。
――盗撮が起こった学校を特定し、年間約30校に電話を入れているそうですね。
校舎の階段を上る女子生徒のスカートの中を撮った画像や、教室で着替えをする女子生徒たちの動画などを見つけ、映っているスカートの柄や校章などを手がかりに学校を特定し、学校や警察に電話しています。削除してもらい、拡散を防ぎたいからです。
小学3年の長男と5歳の長女がいます。娘が生まれて間もない頃、SNSで偶然、盗撮画像を目にしました。ショックでした。子どもたちが育っていく環境がこのままでいいのか。そう思い、2021年に「ひいらぎネット」を立ち上げ、ネット上でパトロールを始めました。いま、私を含め、6人の女性で活動しています。
「カジュアル」にやりとり
――大人を含めた数字ですが、警察庁によると、都道府県の迷惑防止条例違反(盗撮)容疑での2023年の摘発件数は5730件で、この5年間で45%増えました。場所別にみると「学校(幼稚園)」が123件でした。昨年7月にできた撮影罪での摘発は1203件でした。
全てを把握できているわけではありませんが、ネット上に出回る盗撮画像の量は増えていると感じます。子ども間での盗撮も増えていると推察します。
子ども間での盗撮事案の多くは高校生です。地域的な偏りはありません。共学校で男子生徒が加害者に、女子生徒が被害者となって起こっているケースがほとんどですが、女子生徒の間でも起こっています。
教室後ろのロッカーに置いたかばんにスマホを挟んで着替え風景を撮ったり、足元にかばんを置いてスカートの中を撮ったり。朝早く登校して動画で撮り続けているようです。
「同級生を撮りました」と、売買サイトに顔写真付きで書き込んでいることもあります。大人の想像以上に「カジュアル」にやりとりされています。もちろん、すべて犯罪になりえます。撮影罪を規定する性的姿態撮影等処罰法(昨年7月施行)では、画像の記録や保管、提供も処罰対象となっています。著作権法や児童ポルノ禁止法に関わることもあります。
大人が加害をあおるケースも
――中高生もネット上で売買しているのですか。
学校は誰でも入れる空間では…