山形県飯豊町に2023年4月に開学した電動モビリティシステム専門職大学が、25年度入学の学生募集を停止した。在学生は2年生3人、1年生1人の計4人にとどまり、学年定員40人に対して大幅な定員割れとなっているのが要因だが、なぜこれほど早い判断になったのか。電気自動車(EV)の開発に長年たずさわり、慶応大名誉教授でもある清水浩学長に聞いた。
- 大幅定員割れの専門職大学、開学2年で募集停止 在学生はわずか4人
――10月21日に学生募集停止を発表し、学長メッセージを大学ホームページに掲載した。
「この組織体がバラバラになるのは世界的な損失だと思い、メッセージを出した。社会的な役割という点で、この大学のもつ意味は非常に大きい。これからEVや自動運転の時代になる。世界中がしのぎを削り、多くの技術者が必要になる。こういう分野に特化して教える大学はここしかなく、優秀な先生方が集まっている」
――志願状況が悪く、広報活動が至らなかったとの説明だった。
「『地の利が悪かったのでは』とよく言われるが、そうした問題を乗り越えた大学はある。一方で、EVや自動運転は世界的にも注目され、今後伸びていく分野。ということになると、結局、私たちの努力不足という説明をせざるを得ない」
――文部科学省に大学設置認可を申請する際、電動モビリティシステム専門職大学への入学意欲を問う高校生へのアンケート結果を提出し、定員充足は果たせる見込みとしていた。
「受験意欲を示した生徒の入学意向などを調査し、定員40人は確保できると判断した。オープンキャンパスをし、私やほかの教員でかなりの数の高校を回った」
大学改革に積極的な安倍政権が推し進めた「専門職大学」は質の高い職業教育の実現を目指しました。注目の研究分野にもかかわらず、新しいタイプの大学がうまくいかなかった裏側を学長が語ります。
「ただ、大学名に『専門』と…