有識者懇談会の後、記者会見する座長の岸輝雄・東京大名誉教授(右)と、内閣府の笹川武・総合政策推進室長=東京都千代田区=2024年11月29日、東京都千代田区

 日本学術会議をめぐる議論では、23年に設置された有識者懇談会の結論が、法人化決定に大きな影響を与えました。座長を務めた岸輝雄・東京大名誉教授(85)は、政府にも学術会議にも、「互いに譲れるところは譲ってほしい」と訴えてきたといいます。法人移行が進むいま、考えを聞きました。

  ――日本学術会議の副会長経験がある立場で、政府の有識者懇談会の座長として、どんな考えで議論に臨みましたか。

 首相に人事権があるとはいえ、2020年の政府による会員候補6人の任命拒否はおかしい。

 ただ、現実には、外相の科学技術顧問や内閣府参与を務めてきた経験から、政府は任命拒否を撤回しないだろう、という感触も持っていた。

 このままいくと学術会議、ナショナルアカデミーが全てを失いかねない。全てがうまくはいかないと覚悟した上で、学術会議を発展させるチャンスでもあると考えて座長を引き受けた。

 ――法人化が必要との結論をまとめた理由は。

 学術会議の副会長時代に、世…

共有
Exit mobile version