Smiley face
写真・図版
地中海に設置される前の光センサー検出器©KM3NeT

 過去最高エネルギーのニュートリノを、地中海深くに沈めた検出器によってとらえたと、イタリアやフランスなどの国際研究グループが12日、英科学誌ネイチャー(https://doi.org/10.1038/S41586-024-08543-1)に発表した。エネルギーは、人類が加速器で作れるエネルギーの1万倍以上に達した。

  • 昨年発表されたアマテラス粒子を詳しく知りたい方はこちら

 ニュートリノは、電気を帯びず、ほとんど質量がない素粒子。超高エネルギーのニュートリノは、遠くの宇宙から飛来してくるが、メカニズムや発生源は詳しくわかっていない。

 研究グループは、地中海に浮かぶシチリア島沖の深さ3500メートルの深海に、光センサー検出器を大量に配置。2023年2月、ニュートリノ1個が飛来したことを示す信号を検出した。

写真・図版
深海に張りめぐらされたニュートリノ検出器のイメージ©Edward Berbee/Nikhef

220ペタ電子ボルトと推定

 ニュートリノが水と反応すると、高速の粒子が生まれて光を放つ。そのわずかな光を、観測網の3分の1がほぼ同時に感知した。観測網をほぼ水平に貫く軌道や信号の強さから宇宙起源であると判明。解析の結果、エネルギーは約220ペタ電子ボルト(ペタは1千兆)と推定された。

 これは、卓球のボールが1メートルの高さから落ちる時のエネルギーを、一つの素粒子が持つのと同じ。これまで検出されたニュートリノの最大エネルギーの約30倍という。

 発生源は天の川銀河の外とみ…

共有