岐阜県岐南町の食品加工メーカーが、国際宇宙ステーション(ISS)に滞在する宇宙飛行士向けの「宇宙日本食」をつくった。「種子島産バナナとインギー地鶏のカレー」(1袋150グラム)。従業員15人ほどの中小企業がめざしたのは、先駆者たちとはひと味違った製品だった。
若田光一さんも「おいしい」
ISSの中でフワフワと浮く銀色のレトルトパック。若田光一宇宙飛行士がそっと開け、スプーンにすくって口に運ぶ。「地鶏の味、最高ですね。まろやかなカレーという感じで、おいしいです」
2022年12月4日に撮影された、ISSでの様子を報告する動画で、このカレーが紹介された。
小ぶりで肉量が少なく貴重とされるインギー地鶏やバナナ、黒糖など、ロケット発射場がある鹿児島県の種子島産の原材料を使って完成した。
開発したのは、業務用のレトルト製品などをつくる有限会社ケイ・エイ商事(青木健吉代表)。宇宙日本食のカレー開発をめざしていた知人がJAXA(宇宙航空研究開発機構)の窓口を紹介してくれ、同社でカレー開発をすることにしたという。品質管理の最高峰への挑戦という側面のほか、つくった製品が宇宙に行くかもしれないという期待もあったという。
本格的に開発に着手したのは18年のことだった。顧客の意向を聞きながら、食品を加工するのはおてのもの。だが、すでにカレーはいくつか宇宙日本食として認証されている。しかも、大手の食品メーカーの製品だ。どう違いを出すか――。
これまでにない味わい探って
検討の結果、注目したのはロ…