宇宙飛行士が長期滞在するのに欠かせない宇宙食や宇宙での快適な暮らしを目指す研究を紹介する企画展「宇宙で食べる・宇宙で生きる」が22日、愛媛県新居浜市の県総合科学博物館で始まった。宇宙航空研究開発機構(JAXA)などが協力。月や火星を目指す探査計画が進むなか、ストレスが多い過酷な環境でいかに飛行士の健康を維持し、生活の質を上げようとしているかに迫る。
宇宙食は、旧ソ連のガガーリンが初めて宇宙を飛んだ時から利用されてきた。当初は栄養をとることが優先され、無重力でも飛び散らないよう歯磨き粉のようなチューブに入ったペースト状で、味やかみ応えなどは二の次だった。
しかし、国際宇宙ステーション(ISS)での数カ月の長期滞在が当たり前になると、生活の質を少しでも高めようとする動きが加速した。
企画展は、米ロの標準的な宇宙食や、日本の企業が開発した宇宙日本食の数々を展示。不足しがちなカルシウムをおいしく補えるよう、骨まで食べられるように加工されたアジの干物や、飛行士にも人気のサバのみそ煮、無重力でも飛び散らないようとろみがついたラーメンなどを紹介する。
さらに、宇宙ステーションや月面基地でイネや野菜を育てようという研究や、頑丈で建設が簡単な建築物など、宇宙で快適に暮らすことをテーマにした研究開発も紹介。折り紙の技術を応用して資材を小さくたたんで打ち上げ、宇宙で大きく展開して住居にするといった新しい建設手法を研究している東海大の十亀(そがめ)昭人教授は「近年、ゼネコンがどんどん参入して、宇宙建築物の研究は盛り上がってきている」と語った。
学芸員の三木綾乃さんは「地球とぜんぜん違って過酷でストレスが多い宇宙の環境でも、快適に過ごしたり、おいしく食べたりできる科学技術のすごさ、おもしろさを感じて欲しい」と話した。
4月6日(日)まで。2月25日、3月4、10、17、24日は休館。入場料540円(65歳以上280円、中学生以下無料)。4月3日(木)には、JAXAの金井宣茂飛行士が来館し、講演会を開く(詳細は後日、HPで発表する)。3月16、22、29日、4月6日の午後2時~2時半には、学芸員が展示について解説するギャラリートークがある(先着10人)。