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茨城県内の農業情勢について話す八木岡努会長=2025年5月26日、水戸市、原田悠自撮影

 農林水産省が、政府備蓄米を任意業者との「随意契約」で放出することで店頭価格を5キロで税込み2160円程度(税抜き2千円程度)に抑えられるとしたことについて、JA茨城県中央会(水戸市)の八木岡努会長は26日、「ブランド米の価格が高止まりしているなか、すべての消費者に安定供給できるかどうか心配だ」と懸念を示した。

 この日、同会が主催する農業情勢についての記者懇談会が市内であり、報道陣の取材に答えた。

 同会によると、県内の農協などで取り扱う備蓄米は、3月の1、2回目の入札分で精米換算にして約370トン。このうち今月14日時点で県内のスーパーやJA直売所などに流通したのは、4分の1程度の約90トンにとどまるという。

「生産振興も併せてやって」

 大量の備蓄米を精米工場に運ぶため流通までに時間がかかる上、人件費や輸送コストの上昇も追い打ちをかけているという。

 JA側は今後も備蓄米を一時的に大量販売するのではなく、精米売り場の棚が空かないよう平均的に販売できるよう出荷する、としている。

 こうした状況下で、比較的安価な備蓄米が放出される見通しであることについて、八木岡会長は「需要と供給の折り合いから、5キロ3千円~3500円が値頃だと思う。備蓄米が2千円台で販売されると、持続可能な農業ができなくなる。生産振興も併せてやってもらいたい」と述べた。

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