会計検査院=2024年9月17日午前10時44分、東京都千代田区、座小田英史撮影

 政府の成長戦略の実現に向け、国と民間が共同で設立した官民ファンドについて、会計検査院は16日、財務状況などを調べた結果を公表した。政府が検証対象とする全23ファンドの6割にあたる14が累積赤字で、特に業績の悪い4ファンドの累積赤字額は計1637億円だった。

 各ファンドが支援を続ける事業を調べ、低迷が続けば計3073億円の損失が生じる恐れがあることも判明。アベノミクスで成長戦略の目玉だった官民ファンドの行き詰まりが鮮明になった。

 官民ファンドは、国と民間が資金を出し合い、政府の成長戦略に沿った民間事業に投資して収益を上げるのが目的。日本では起業や新規ビジネスへの投資が不足していると指摘され、民間の投資を呼び込む狙いもあった。

 大半は第2次安倍政権下の2013年以降に設立された。23ファンドに対する23年度末までの国の出資や貸し付けなどは総額2兆2592億円に達する。

 検査院は今回、原則として23年度末時点で、23ファンドの財務状況などを調べた。累積赤字が確認された14ファンドのうち7ファンドは国立大学の運営だった。

 赤字額が最大だったのは国土交通省所管の「海外交通・都市開発事業支援機構」(JOIN)で954億円。経済産業省の「海外需要開拓支援機構」(クールジャパン機構)の397億円、農林水産省の「農林漁業成長産業化支援機構」(A―FIVE)の162億円、総務省の「海外通信・放送・郵便事業支援機構」(JICT)の123億円が続いた。有識者による一部ファンドの検証では、投資リスクの見通しの甘さや成長性の過大評価が指摘されている。

所管する省庁の取材への回答は

 政府は18年、業績不振のフ…

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