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官民ファンド「海外交通・都市開発事業支援機構(JOIN)」の損失計上について、閣議後会見で質問に答える斉藤鉄夫国土交通相=2024年6月28日、東京・霞が関の国交省、中村建太撮影

 国土交通省所管の官民ファンド「海外交通・都市開発事業支援機構」(JOIN)が巨額の赤字を抱えている問題で、斉藤鉄夫国交相は28日の記者会見で、「多額の計上に至った事実を重く受け止めている」と陳謝した。ただ、国の責任や、損失の公表を先送りした疑いについては明言を避けた。組織を見直すためにつくる有識者会議の実効性が問われる。

 企業の海外インフラへの投資を支援してきたJOINは、米テキサス州やミャンマーなどでの投資が頓挫し、2024年3月期決算で799億円の損失を計上した。従来分を含めた累積赤字は異例の955億円にのぼる。

 斉藤氏は記者会見で、巨額損失を陳謝したが、「支援基準に照らして適切に判断してきた」などと弁明。国交省の監督責任について、「(7月にも設置する)有識者会議で議論していただく」と述べるにとどめた。

 損失が生じた事業の多くは、共同で出資した企業が1年以上も前に損失を明らかにしている。国交省には責任回避のため、損失の公表を先送りした疑いが持たれている。これについて、斉藤氏は「会計ルールにのっとって損失計上の要否の判断をした」と主張した。

 一方、JOINに出資する財務省の鈴木俊一財務相は、同日の会見で、巨額の損失について「誠に遺憾」と述べた。そのうえで、JOINを含めた官民ファンド全体のガバナンスの見直しを検討する考えだ。

 関係者によると、国交・財務…

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