長崎県警は8日、同県佐々(さざ)町の発注工事をめぐって入札を妨害したなどとして、町長の古庄剛容疑者(77)を、官製談合防止法違反などの疑いで逮捕し、発表した。また、工事を受注した会社の代表木田栄三容疑者(53)と、別の会社の社員山口情二容疑者(62)を公契約関係競売入札妨害の疑いで逮捕した。県警は3人の認否を明らかにしていない。
県警によると、古庄容疑者は昨年7月26日に行われた町発注の団地の給水管改修工事の指名競争入札で、入札前に山口容疑者に最低制限価格に近い金額を漏らし、木田容疑者が代表をつとめる土木工事会社「山龍」に1659万円で入札させて、落札させた疑いがある。
佐々町長らが逮捕されたのは8日朝。中村義治副町長(66)は同日、町役場で報道陣の取材に対応し、「町民のみなさまに多大なご迷惑とご心配をおかけしまして大変申し訳ございません。警察の捜査に全面的に協力するとともに、一刻も早く町民の信頼を回復できますよう職員一同、全力で取り組んでまいります」と、険しい表情で頭を下げた。
午後2時前には、県警の捜査員たちが複数台の車で町役場に到着し、段ボールなどを手に、捜索に入った。
中村副町長が、町長の古庄剛容疑者と話をしたのは、町議会3月定例会が閉会した7日が最後。特段、変わった様子はなく、その後、連絡はとれていないという。
町では6月10日告示、同15日投開票の日程で、町長選と町議選(定数10)が予定されている。古庄容疑者は一般質問で問われても、5選を目指すかどうかを明言していなかった。
官製談合の疑いが持たれているのは、1981年に建設された松瀬団地の老朽化した給水管の改修工事。昨年7月26日に入札が行われ、7社が入札に参加。木田栄三容疑者が代表取締役を務める土木工事会社「山龍」が、非公表の最低制限価格(税抜き)1657万3300円に対し、1万6700円上回る価格で落札した。入札額が最低制限価格を下回って失格となった会社も2社あった。
副町長によると、非公表の最低制限価格は、入札の直前に、町長と建設課長らが町長室で、ランダムの係数を使うなどして決定。町長は最低制限価格を知り得る立場だったという。